範宙遊泳(日本)×THE NECESSARY STAGE(シンガポール)国際共同制作
2017年11月30日(木)-12月2日(土)
WAKABACHO WHARF -Yokohama-
Photo by Tuckys Photography
Photo by Tuckys Photography
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Photo by Tuckys Photography
ARTIST INTERVIEW
2015年から、シンガポールの劇団・THE NECESSARY STAGE(TNS)との共同制作を経て完成した『SANCTUARY-聖域-』。3つのフェーズに分けられ、最終の<phase3>では1ヶ月半の滞在型制作と現地での公演を行った。
シンガポール公演初日が終了したタイミングで、編集者・武田俊が山本に話を聞いた。
Interview / text:Shun Takeda
photo:Harumi Shimizu
東アジアを巡る旅のはじまりと、「プラスチックでできた町」
ーーまずここ数年、マレーシア、インド、タイなど、東アジアの国での公演や制作が増えて来ています。どういう流れでこの動きが生まれていったんですか?
きっかけは2014年のTPAM(国際舞台芸術ミーティング)でした。そこで上演した『幼女X』を、マレーシアの団体が買い取ってくれたのが始まりなんです。マレーシアで上演したい、コレボレーションしようってオファーをもらいました。
ーー買取りっていう仕組みがあるんですね。
そうそう。また他にも近いタイミングでインドからもコラボレーションしたいね、っていう連絡があったんですよ。最初は「これは挨拶代わりみたいなものなんじゃないかな」と本気にしてなかったんだけど、1年後正式なオファーが届いた。ぼくらが積極的に海外でやりたいと動いたわけではないんだけど、逆に断る理由もないわけで、それでトライしてみることにしたんです。
ーー海外からの反響っていうのは、これまでの国内からの評価とは違った?
彼らは範宙遊泳についてわずかな情報しか知らない人たちで、ましてやぼくという人間がつくる物語の特徴なんてわからないわけです。だからこそ、演じたものが特定のフィルターにかかることなく届けられるシンプルさ、気持ちよさや手応えはあったし、それは見た彼らも感じてくれたみたいでした。
舞台装置としての映像も新鮮だったみたいで。『幼女X』は特にローマテリアルで、プロジェクターを原始的に使っていたので「こんな風にやっていいんだ」「自分たちでもできるかも」という発見もあったそうです。東南アジアは影絵の文化もあるので、そういった部分からの関心も持ってもらえたのかも。
ーーそんな流れの中で、シンガポールを代表するカンパニー・THE NECESSARY STAGE(TNS)とのコラボレーションが生まれていったと。今回は、<phase1><phase2><phase3>と3つの期間にわけて制作を進めていったと聞きました。
これはTNSのやり方なんです。彼らは創立30周年で、様々な国のアーティストとコラボレーションをしてきていて、これが最も合理的でシステマティックな手法だそうなんです。<phase1>ではぼくらがシンガポールに10日間出かけて、フィールドワークとディスカッションを行いました。
ーー初シンガポール?
そう。ただその前にマレーシアで、シンガポールの話を聞いたことがあって。歴史的背景を調ると明らかですが、決して仲のいい国同士ではないわけで。そんなことをぼんやり考えていたら、マレーシア人のアーティストが、シンガポールのことを「プラスチックでできた町」って言っていて。その人はとても温厚な人なんだけど、そういう表現をしていた。それだけ色々な思いが錯綜しているんだなということは事前に感じていたんです。あとはポイ捨てしたらいけないとか、いわゆるザ・シンガポールなイメージは持ってました。
3つのフェーズから生まれた「聖域」
実際来てみて、TNSのみんなと一緒にフィールドワークを重ねたんですけど、とても不思議なところだなあとまず感じたんですよ。独特なのは、一党独裁体制だから生まれている様々な価値観。例えば公園で事故があったとする。日本の場合だとクレームが来て、自治体が再発防止策を取って遊具を整備し直したりしますよね。それがシンガポールの場合、そもそも事故が起きる前に「アスファルトだとケガをしかねないから、公園の床はゴムにします」って感じで、政府が先取りをする。おせっかいなおばちゃんみたいだね、って話しました(笑)。
ーー確かにこのビーチにくる途中の公園も、床がやたらやわらかかったですね…。
それくらい国が主導で管理している。あとは土地を買うっていうことがないそうです。99年とか、自分の人生を越えるような長期間住む権利を買う、という制度みたいで。土地自体も少ない狭い国だから、ビルやマンションは縦に伸びる。だから多くの人は、国が運営する高層団地に住んでいる。ぼくは前からマンションを買うこと=空中の空間を買うこと、だと思っていて、だとすると、シンガポールで暮らすということは、地面と人との関わりがぼくたちが思っているそれとは違うはずなんですよ。
ーーそれはおもしろい視点ですね。ただ興味深いなあと思ったのは、独裁体制なんだけど……
国民の満足度は高いんだよね(笑)。町を歩いてても、窮屈な感じが出てる人があまりいない。ただ一方で自殺率が上がっているという話もあるらしいんだけど、それは表には出てこない。表に出てこない構造に、まあなっているということなんでしょうね。
ーーそれこそ今回の作品の制作過程で特に重要だと思ったのが、脚本を検閲に通さないといけないってところでした。脚本自体はどのフェーズで仕上がっていったのだろう?
<phase2>あたりかな。このフェーズではTNSサイドの俳優と、一緒に脚本を書いたハレーシュ・シャーマ、音楽を担当したバニ・ハイカルが東京に来て、ひたすらワークショップを重ねたんです。彼はAirbnbで森下に滞在してました。ワークショップでは、ぼくとバニーが1日ごとにファシリテーションを担当して、このお芝居でやりたいことをひたすら試していく時間になりました。例えば劇中にも出てくるけど、顔認証システムで音楽をつくれるアプリを彼が開発していて、それをどう使おうか、とかね。
ーーなるほど。ストーリラインを意識しながらというより、アイディアをどう持ち込めるかっていう時間なんですね。
そうそう。<phase1>でのディスカッションで、「未来」「生と死」っていうキーワードが出て共有できていたので、ここでは手法の選択がメインになっていったんです。
共同執筆、共同生活、そして劇団としてのターニングポイント
ーー範宙遊泳のお芝居は、実在の地名が登場する作品が多いということも含めて、東京という都市を通して現代を語っている、とこれまで感じていました。ところが今回の作品は、なんというか…無国籍的ですよね。
そうだね、今言われてちょっとハッとしてます。これまで東京の持つ土地性をとても意識していて、具体的な地名もわざと登場させてました。なので今回はその路線からちょっとずらそうとは、思ってたんですよね。今回は<phase2>で登場させたいモチーフが具体的に出てきたので、ストーリーにまとめていくときもそれほど苦戦はしなかったです。むしろ、たくさんおもちゃが並んでいて、どれを使って遊ぼうかなって感じ。このお芝居は遊び心たっぷりで書いたほうが良いものになると、直感的にずっと感じてました。
ーー脚本が共同執筆ということですが、そぼくな疑問なんですけどどうやって執筆したのだろう? Google Drive?
シンプルにwordですね。校閲機能を使って、ぼくとハレーシュがそれぞれの編集履歴を残しながら書いていく感じ。まず初めにお互いが7つのエピソードを持ち寄ることにしたんですよ。登場人物が7人だから、1人につき1つのエピソードを書き出すと。それを出し合うと単純に14個のエピソードになるわけだから、削っていく必要がありますよね。これが大変(笑)。
ーーうまくシャッフルしながら、まとめていけるもんですか?
ほんと、これはめちゃくちゃ難しい作業だった(笑)。お互いに「ここは入れたい!」というところを、相手がバシバシ削ってしてしまうわけだから。ただ映画で脚本家が複数いるような作品は、こんな風につくられるだろうから、そういう経験ができたのはよかったですね。ただ見てもらったらわかるように、物語の構造が複雑だから、最初の読み合わせでは役者たちはとまどっていましたね。共同執筆ゆえの解釈の齟齬みたいなものも初稿の段階ではあったりして。ただ徐々にそれが整っていくと、どこか不思議なこの作品の魅力をみんな感じていたみたいです。
ーーたかくらかずきによる美術も、よかったです。特定の時代をイメージさせないビジュアルやインターフェイスデザインなのに、なぜかどこかで見たことのあるような親しみを感じるというか。
そもそもぼくが彼の作品に惹かれていたのは、そのなぜかわからないけど感じる懐かしさ、みたいな部分だったんです。今回は彼もある程度の日数を滞在して、脚本をガッツリ読み込んで稽古にも参加しながら制作してくれたのが効果的に働いたのかもしれませんね。
ーーそうだ、今回の作品の特徴として、<phase3>では1ヶ月半もの期間、みんなで一つ屋根の下生活をしながら制作をしたというのもありますよね。
生活はやっぱりすごく作品に影響するんですよね。滞在制作となると、ただお芝居を作るだけじゃない、人と人との活性みたいなものがどうしても必要になってくる。それぞれ個室があるにはあるんだけど、生活におけるテンポとかリズムも違うし、ケンカみたいになっちゃったこともありました。今思うと生活の些細なことなんだけど、ああ、こういう風になっちゃったりもするか…みたいなね。これも集団制作ならでは、ですね。
ーーリズムといえば、東京よりもみんな規則正しい生活を送っていたとか。
TNSのリズムとして、朝10時から稽古をして、18時にはきっちり終わる。土日は休みっていうのがあるんですよ。オン・オフがすごくはっきりしてる。演劇をしっかり仕事として捉えているプロフェッショナルさを感じたし、オフをうまく使って色んな場所に出かけることもできた。あと、何も知らない外国人でいられる、ということの心地よさも感じました。日本だと「なんで同じ国の人間なのにわかりあえないんだろう」ということでいつも悩んでしまうんだけど、こっちだとわからないことだらけだから、そんな悩みも生まれない。
ーー多民族国家だから、そもそも差を認め合いやすいっていうのもあるかもですね。
民族ごとにお正月をそれぞれやるから、何回もあるらしいんですよ。滞在中にもディーパバリっていう、インドのお正月があったんだけど、ヒンドゥー文化だからぼくらにとっては普通の日なわけで。この感覚はおもしろかったです。
ーーこれまでにない外部環境と手法でできあがった『SANCTUARY -聖域-』だけど、何か新しくつかめたことはあります?
うーん、どんな反響があるのかはある程度想像がついていて、心の準備をしていたからか、そんなに興奮しているわけでもがっかりしているわけでもない。ちょうどいい冷静さは保てています。日本公演では舞台のサイズや構造も違うので、結構修正はしないといけない。特に大きな差は、観客と範宙遊泳所属の役者の関係です。シンガポール公演の時に彼らの発する日本語は伝わらないわけで、観客は英語で表示されている字幕の方を注視する。でもこれが日本では、役者の身体自体に視線が集まるわけです。
ーーああ、確かにそうですね。それだけでも状況が全然変わってくる…。
そういう環境変化に対して、柔軟に対応できる俳優はとても強いと思います。ちょっと俯瞰して自分を見たときに、状況に合わせて調整できる。これは演出家にとっても大切な能力なので、全然他人事じゃないんですけどね(笑)。
ーー日本での公演も楽しみです。今回の作品、個人的には範宙遊泳にとって、また山本卓卓にとってもターニングポイントになるんじゃないかな、と実際見てみて感じたんですが、どうですか?
色んな覚悟ができたようには思います。今後10年、20年、どうやってアーティスト活動を続けていくべきか。その何かが決まった感じが、うん、するんですよね。
Introduction
霞むリアルとバーチャルの境界線
来たる未来の片鱗を、日本×シンガポールの共同制作で描く
範宙遊泳は、2015年から、シンガポールの劇団THE NECESSARY STAGE(TNS)と共同制作を行っています。
共通の知り合いである通訳者の鈴木なお氏の提案から、いち劇団同士がお互いに興味を持ち対話を重ね、資金繰りから広報活動までのすべてを自発的に行う、インディペンデントなコラボレーションです。
創作過程はTNSの方法にのっとり、範宙遊泳がシンガポールでリサーチとWSを行う<phase1>、TNSが来日し稽古と小作品の発表を行う<phase2>、シンガポールでの滞在制作と両国での上演を行う<phase3>と3つのステップを踏み、長い時間をかけてお互いの理解を深めてきました。
脚本は、両国の劇作家、山本卓卓とハレーシュ・シャーマが共同執筆し、シンガポールと日本が抱える監視社会の問題や、未来の生活のあり方、デジタルアーカイブ、SNSセレブなどをテーマにディスカッションを重ね、がそれぞれ書いた脚本を、ひとつの物語に結合させました。
音楽家でありエンジニアでもあるバニー・ハイカルが手がける音楽と、範宙遊泳のアートディレクターたかくらかずきが手がける映像とのコラボレーションも、見どころのひとつとなっています。
範宙遊泳は10月1日からシンガポールに渡航し、山本卓卓とTNSの演出家アルヴィン・タンとの共同演出で、シンガポール公演は大盛況で幕を閉じました。
待望の日本公演に、どうぞご期待くださいませ!
Message
これまでに範宙遊泳はマレーシア、タイ、アメリカ、インドのアーティスト達と国際コラボレーションを行なってきました。コラボレーションを通して、日本にいるだけでは到底知りえなかった多くのものに出会いました。日本とは違う日差し、吹いている風、ビルの高さや低さ、路上のゴミの具合、人々の表情、そしてアーティストたちの思想、精神、過ごした日々。そうしたものの違いや差に触れていく中で、改めて多様な価値観と人種のもとにこの世界は成り立っているのだと感じました。この世界が多様であるということは、頭ではわかっていてもなかなか実感を持てません。民族の数が少なく、さらに島国である日本にいて、世界の多様性を実感し受け入れていくということは、慣れていることではないのです。国際コラボレーションは、世界に不慣れな私にそれと向き合うための必要な脚力をつけてくれます。言語の違いや価値観の違いの中で創作を行うことは困難も多いです。しかしその困難を乗り越えていく先に、霧が晴れていくように調和が生まれます。
2017年現在、世界は調和とは言い難い時代にあると思います。いや、もしかするとこれまでも、そしてこれからも、世界は調和することなどないのかもしれません。しかしそれでも、と思うのです。範宙遊泳とThe Necessary Stageにおいては、演劇においては、それができるんじゃないかと。世界が失敗し続けていることを、演劇でならできるのではないかと。
山本卓卓
Performance details
範宙遊泳 × THE NECESSARY STAGE
SANCTUARY-聖域-
2017年11月30日(木)-12月2日(土)
@WAKABACHO WHARF -Yokohama-
作 山本卓卓/Haresh Sharma
演出 山本卓卓/Alvin Tan
音楽 Bani Haykal
映像 たかくらかずき
出演 Audrey Luo,
Ellison Tan Yuyang,
熊川ふみ, 田中美希恵,
福原冠, 埜本幸良,
Yazid Jalil
チケット取り扱い
<一般・学生予約|事前入金>
Lコード|32406
電話|0570-000-407(10:00~20:00/オペレータ対応)
店頭|ローソン、ミニストップ店内Loppi
*各種手数料無料の「演劇最強論-ing」サイトからのご購入をオススメいたします。
<高校生以下|当日精算>
件名を「高校生以下予約」とし、
①日時②枚数③お名前④ご連絡先
をご明記のうえお申し込みください。
こちらの返信をもってご予約完了といたします。
*前売り券ご購入後のキャンセル・日時変更はご対応できかねます。
*未就学児のご入場不可
*開演するとご入場いただけない場合がございます。
2017年11月30日(木)-12月2日(土)
11月30日(木)19:30
12月1日(金)14:00/19:30
12月2日(土)13:00/18:00
受付・開場|開演30分前
上演時間|約70分を予定
WAKABACHO WHARF(若葉町ウォーフ)
〒231-0056 神奈川県横浜市中区若葉町3-47-1浜銀ビル1F
TEL:045-315-6025
・京浜急行「黄金町駅」より徒歩4分
・京浜急行「日ノ出町駅」(急行停車)より徒歩8分
・横浜市営地下鉄「板東橋駅 3B出口」より徒歩7分
・JR京浜東北線関内駅より徒歩15分
・市バス「横浜橋」(32、113系統、他)より徒歩3分
*映画館「ジャック&ベティ」の斜め前にございます
料金|一般:3,000円
学生:2,500円
高校生以下:1,000円
(枚数限定・劇団のみ取扱)
当日券:各500円増
ドラマトゥルク・翻訳|滝口健
通訳|鈴木なお 大野希士郎
翻訳|Christopher Gregory
美術|Vincent Lim
照明|Yo Shao Ann
衣裳コーディネーター|Yeo Fu Bi
グラフィックデザイナー|qu'est-ce que c'est design
フライヤーデザイン|金田遼平
プロダクション・ステージマネージャー|Azy Alias
アシスタントステージマネージャー|Brenda Lum
プロジェクトマネージャー|Karmen Wong
ジェネラルマネージャー|Melissa Lim
当日運営|田中亜実
制作助手|川口聡
制作|柿木初美 坂本もも
協力|プリッシマ ロロ 森下スタジオ 急な坂スタジオ
ローソンチケット
助成|国際交流基金アジアセンター アジア・文化創造協働助成
アーツカウンシル東京
アーツコミッション・ヨコハマ
公益財団法人セゾン文化財団
Cultural Matching Fund
Singapore International Foundation
企画制作・主催|範宙遊泳 さんかくのまど
THE NECESSARY STAGE
Review
シンガポール公演のレビューを掲載いたしました。
媒体名をクリックしていただくと、和訳をお読みいただけます。
写真付きの英語記事はURLからご覧ください。
・CRYSTALWORDS
http://crystalwords.blogspot.sg/2017/11/sanctuary.html
http://popspoken.com/arts/2017/11/sanctuary-act-tempting-fate-technology
http://www.straitstimes.com/lifestyle/arts/blurred-lines-between-virtual-and-real
・BAKCHORMEEBOY
https://bakchormeeboy.com/2017/11/02/review-sanctuary-by-the-necessary-stage-and-hanchu-yuei/
Artist profile
山本卓卓
SUGURU YAMAMOTO
範宙遊泳代表・劇作家・演出家・俳優。
1987年生まれ。山梨県出身。
kれまでにマレーシア、タイ、インドのアーティストと共同制作を経験。
『幼女X』でBangkok Theatre Festival 2014 最優秀脚本賞と最優秀作品賞を受賞。
『うまれてないからまだしねない』で第59回岸田國士戯曲賞最終候補ノミネート。
2015年より公益財団法人セゾン文化財団ジュニアフェロー。
2016年より急な坂スタジオサポートアーティスト。
一人の人間に焦点を当て作品化するソロプロジェクト「ドキュントメント」も主宰している。
たかくらかずき
KAZUKI TAKAKURA
アートディレクター・イラストレーター
山梨県出身。1987年生まれ。2011年より範宙遊泳に所属。
範宙遊泳の公演内・外のビジュアル、広報全般のアートディレクションを担当。
担当内容は舞台美術からWeb制作、映像素材制作、トークゲストのブッキングなど、時と場合による。
ソロでイラストレーター、デザイナー、映像制作なども行う。
HARESH SHARMA
ハレーシュ・シャーマ
The Necessary Stageの専属脚本家を1990年から務める。2015年、シンガポール文化勲章が授与される。100本以上の作品の脚本を手がけ、20箇所以上の都市で上演されている。脚本を手がけた「Off Centre」のテキストが、シンガポール教育省から「N」、「O」レベル(シンガポール中等教育における区分)として認定されている。
「Trilogy」「Shorts 1」「Shorts 2」「Don’t Forget to Remember Me」などを含む13作品が出版されており、マレー語、中国語、ギリシャ語、イタリア語などに翻訳されている。「Fundamentally Happy」「Good People」「Gemuk Girls」が、それぞれ、2007年、2008年、2009年のザ・ストレーツ・タイムズ紙 Life! 演劇賞最優秀オリジナル脚本賞を受賞。
第一回ニューヨーク・シンガポール文学フェスティバル(2014)、ニューデリー・ブック・フェア(2015)、ウブド・ライターズ&リーダーズフェスティバル(2015)、香港文芸フェスティバル(2015)などのライターズフェスティバルに参加。
2011年、栄誉あるニューヨーク大学ティッシュ・スクール・オブ・アート、ゴールドバーグ・マスター脚本家賞を受賞し、アメリカ人以外で初の受賞者となった。2014年、ASEAN地域内の文学における功績を認め、讃える、東南アジア脚本家賞(S.E.A Write賞)を受賞。
BANI HAYKAL
バニー・ハイカル
サウンド・アーティスト
アーティスト、コンポーザー、ミュージシャン。音楽(創作とそのプロセス)をサイバネティクスのメタファーとして捉え、反応/導引するメカニズムの中での接続や交流を巡るプロジェクトを行う。b-quartetや、サウンド・ペインティングチーム、Erik Satay & The Kampong Arkestraのメンバー。
ALVIN TAN
アルヴィン・タン
The Necessary Stageのアートディレクター、創立者。過去に、国内外で上演された80本以上の舞台作品をディレクション。フルブライト奨学金を獲得し、1998年、ヤングアーティスト賞を舞台演劇部門にて受賞。2010年、舞台芸術分野への大きな貢献が認められ、フランス文化通信省から芸術文化勲章が授与された。翌2011年、The Necessary StageによるModel Citizensでの仕事が、ザ・ストレーツ・タイムズ紙 Life! 演劇賞最優秀ディレクター賞を受賞。
教育省から依頼を受け、授業に組み込むための、「O」レベルの演劇カリキュラムを計画。2014年には、シンガポールの芸術シーンに与えた影響の功績が認められ、シンガポール文化勲章を受賞。また、ArtsWokコレクティヴ主導で、シンガポールで毎年開かれる児童青年演劇フェスティバル、Peer Pleasureのアートディレクターを2015年から2017年まで担当。
VINCENT LIM
ヴィンセント・リム
セットデザイナー
2000年からセットデザイナーとして活動し、2008年、The Necessary Stage作品、「Good People」が、ザ・ストレーツ・タイムズ紙 Life! 演劇賞にて、最優秀セットデザイン賞にノミネート。建築家として、シンガポールや香港、東京、上海、北京、クアラルンプール、バリなどの地域でプロジェクトを受け持つヴィジュアル・テキスト・アーキテクツ(VTxT)を主催。2010年には、有望な若手建築家として選抜され、シンガポール都市再開発庁による20 UNDER 45展に参加。執筆も意欲的に行なっており、著書にはチャンギ国際空港について書いたものなどがある。現在、都市の住みやすさやサステイナビリティについてリサーチなどを行うCentre for Liveable Citiesにて、非常勤で編集者を務める。また、シンガポール国立大学での指導や、香港中文大学でのワークショップの開催などの経験を持つ。
YO SHAO ANN
ヨウ・シャオ・アン
ライティング・デザイナー
2006年、ナショナル・アーツ・カウンシルによる、ヤング・アーティスト賞テクニカル・シアター部門受賞者。カリフォルニア大学サンディエゴ校にてMFAを取得。YO SHAO ANN
The Necessary Stageのライティングデザイナーとして過去に、Mobile 2: Flat Cities (2013)、Sing Song (2004)、Such Sweet Sorrow (2004)、Oh Man! (2003)、Fires within Fires (2003)、WWW (2002)、 Close – in my face (2002)、godeatgod (2002)に参加。
THE NECESSARY STAGE
ネセサリー・ステージ
1987年に設立されたシンガポールの劇団。リサーチや即興、インタビュー、他分野のアーティストや異なる民族的背景を持つ演劇人たちとの対話などを通じて、共同作業を行いながら作品を生み出していくという、プロセスを重視した作品創作を行っている。
日本では2007年3月にシアタートラムで『モバイル』を上演。
芸術監督アルヴィン・タンの呼びかけにより集まった、フィリピン、タイ、日本、シンガポールのアーティスト16名が、1年近くリサーチを重ね、各地で出会った海外出稼ぎ労働者やそれを支援するNGO職員、日本で子どもの認知を求めるタイ人セックスワーカー、シンガポールのフィリピン人メイド、フィリピンへ赴任した日本人会社員らが語った「移動」と「移住」を巡る、現代アジアの物語をひとつに紡いだ作品を共同制作した。
http://www.necessary.org