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2017.10.7(sat)熊川ふみ シンガポール素描


【10.7.SAT】

現地に来てからの初OFFに、バスに乗ってシンガポール国立博物館に行ってきました。

Level1(1F)が常設のシンガポールの歴史のフロア、Level2が動植物の生態のフロア、Level3が産業のフロア。 広かったのでLevel1に絞り英文と格闘しながら周りました。 今でこそ未来都市みたいな景観のシンガポールだけど原住民の生活はとても素朴で面白くて、夢中で観ていたけど世界大戦のエリアに入った途端我に返った。 バンと目に飛び込んで来たのが大きなスクリーンに映された、日本が昭南島としてのシンガポール統治を表した映像でした。

赤を基調とした世界地図の中のシンガポール国土に昭南島の日の出の旗がグサッと刺さるところで、一緒に観ていた小さな子供が「See! Japanese!」と一言。 私は生まれて初めてその場に「侵略した国の人」として立っている、見られていると皮膚で感じました。

こっちではこれがシンガポールの痛ましい歴史として普遍なことをほとんどの日本人は知らない。 そう思った時に私は無意識に、しかも本当に無責任に、「ごめんなさい」と頭の中で言っていて自分でも驚いた。 脚がむずむずする、逃げ出したい、でも逃げる必要なんかない。脚が迷って立ってる。

外に出なければ自国の側面を知ることって、恐らくできない。 しかも皮膚感覚を伴ってはなおさらできないと思う。 世界大戦に私は何の責任も負っていないけど、知ることは自分の了見を広げてくれる。 そこにはできるかぎり責任を背負いたい思いました。 だってすごい威力を持った「シー!ジャパニーズ!」を聞いちゃったから。 知っている限り続いていくことだから。

展示されていた日本の戦車、シンガポール統治を喜ぶ映像、何発も砲弾を打ち続ける日本兵の映像。日本兵の帽子、服、靴。 これも驚いたことにふともしこの帽子や衣服が自分の家族や友人や恋人が着るものだったらと想像したらごめんなさいと呟いた自分から180度視点が変わってしまった。 自分の中にあるものは愛国心じゃない、人への想い。もし戦争が起こったら、誰かへの想いが戦争を進めてしまうかもしれない。

本当にあのエリアにどう立っていたらいいのか、からだも頭もわからなかった。

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Theatre Collective HANCHU-YUEI

 2007年より、東京を拠点に海外での公演も行う演劇集団。

 現実と物語の境界をみつめ、その行き来によりそれらの所在位置を問い直す。

生と死、感覚と言葉、集団社会、家族、など物語のクリエイションはその都度興味を持った対象からスタートし、より遠くを目指し普遍的な「問い」へアクセスしてゆく。

 近年は舞台上に投写した文字・写真・色・光・影などの要素と俳優を組み合わせた独自の演出と、観客の倫理観を揺さぶる強度ある脚本で、日本国内のみならずアジア諸国からも注目を集め、マレーシア、タイ、インド、中国、シンガポール、ニューヨークで公演や共同制作も行う。

 『幼女X』でBangkok Theatre Festival 2014 最優秀脚本賞と最優秀作品賞を受賞。

『バナナの花は食べられる』で第66回岸田國士戯曲賞を受賞。

090-6182-1813

(合同会社範宙遊泳)

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